「おぬし、人を斬った事はあるのか?」「へ?」突然のこの質問に、隆行は黙した。(…そういえば…無かったかも…。)隆行は、この時代に来る前は、もちろん人を斬った事が無い。high dip 要求この時代に来た後も、その強力な膂力で全て済んでしまっていた事を思い出した。「そういえば…ありません…な。」(しまった!これはマイナスイメージだ!)隆行はすぐに思ったが、仕方が無い。事実、人を斬った事は無いのである。しかし、人を斬らない武士など、隆行も聞いた事がない。(何か言わないと。仕官話の破綻もありえる。)と、焦って出た言葉は、「も、問題ありません。そういう機会が無かっただけです。」隆行のその言葉に、(もしや…)と思った宗珊は、優しい微笑みを浮かべ、「かなりの膂力がありそうじゃから、機会が無かったというのも頷ける。じゃが、そのままではまずい。肝心な時に、斬れぬでは話にならぬからな。まぁ、大事は無いとは思うが、ここらで斬る経験をしておくのも良かろう。」と言った。