フォンブゥオン隼人が馬上で槍を振る度に、風が太く唸る。しかし、馬上で槍を振った経験が少ない隼人は、先程のように、敵兵を吹き飛ばす、とまではいかなくなっていた。馬上で槍pico laser 凹凸洞使うという事は、両手を離して、内腿で馬腹抑え、人馬一体とならねばならず、難易度が非常に高い。そんな馬上槍の技など持たない隼人は、へっぴり腰で、左手は馬の手綱を握ったまま、右手一本で豪槍を振っているため、槍の力が半減していた。しかも、戦っている相手は、天下に名高い武田の騎馬隊である。先程の余裕は消し飛び、今は、身を守る為に槍を振っていた。(ダメだ…これ以上は厳しいぞ…退くか…)隼人は、一旦逃げる事を考えるが、まだ当初の予定を果たしていない。(…景家の部隊は…)敵の攻撃を防ぐ合間合間に、周りを見回すと、先程まで、柿崎隊が戦っていたところには、既に部隊がいなくなっており、変わりに犀川の南岸の水際に、今にも川を渡ろうとしている柿崎隊がいた。(もう、ほとんど撤退出来てるじゃねぇか!)驚いた隼人は、自身の周りの状況を見て、(やべぇ、俺、軍令違反とかで、足引っ張っただけ…か…?)そうこう考えてるうちに次から次に攻撃が来る。