(しっかし、それにしてもスゲェ戦いになってるみてぇだな。)地上から響く合戦の音も凄いが、何よりも、しきりに響く地響きが洞穴の中を揺るがし、石や岩が時折ポロポロと落ちてくるのである。(泳池別墅りゃぁ、今度こそ、崩れるだろ。生き埋めは勘弁だぞ。)そんなことを考えるたっつんは、焦る気持ちを抑えながら、自ら決めた時間のダンスを終えると、早々に穴を掘る姿勢となった。(くそっ。洞穴にここまでガタがきてんのに、誰も来ねぇ。)村の人、はたまた、己の仲間にも悪態をつくたっつんは、同時に、(いや、皆、合戦で必死なんだ。自分の事は自分で何とかしねぇと…。)という想いも抱えていた。(そうだ…。自分の力を頼りにしろ、俺…。はじめから人の力をあてにするな…。人から力を借りた時は、後で二倍にして返さねぇといけねぇもんを背負ったと考えろ…。)一人で考える時間が多いたっつんは、次第に思考の仕方を、変えつつあったのである。