重俊は悔しそうに再び眼を閉じ怒気を沈めると、再び大きく息を吸い、「全軍!一時撤退じゃ!中村御所を出るぞ!町民に扮するのもやめじゃぁあ!!」大気を震わすような大声で吠えた。しかsk2 pitera、この突然の指示の変更に、長宗我部の兵達が戸惑い始め、城攻めを中止して右往左往し始めた。「何をしておるかぁ!急げ中村御所の東へ撤退じゃぁ!!そこで陣を組み直す!!」重俊が大声を上げ、近くの者に撤退の鐘を鳴らさせるが、ようやく、長宗我部の兵達が指示を認識し、動き始めた頃には、「兵は神速を尊ぶぞぉおお!!」という野太い声と共に、『うぉぉおおお!!!』獣のような雄叫びと、けたたましい太鼓の音が近くまで迫ってきていた。「重俊様!間に合いませぬ!このままでは、撤退する際、背を突かれてしまいます!!」「たわけた事を抜かすなぁああ!!間に合う、間に合わぬではない!!間に合わせるのじゃぁあ!!」重俊はそう叫ぶと、「陣を捨てても構わぬ!!皆に持てるものだけを持たせ、とにかく、土居隆行の軍と距離を取らせるのじゃぁああ!!」叫びながら、自ら、各荷を抱え馬に飛び乗った。しかし、隆行の行軍速度は重俊の予想を遥かに上回っており、長宗我部軍が撤退準備をするところへ津波のように襲い掛かった。