そのため、この後、押し寄せるであろう官兵に備えるためにも、島を復興させ、要塞化させる事が急務だったのである。たっつんは、元々連れていた強面丸の乗組員と海の民を一つの勢力として合流させた後、そ獨立屋勢力を二分し、収入を確保する者達と、各施設の再建や港の復活をする組に分けた。そして、この収入を確保する組は陳秀に任せ、自身は島の再興に全力で取りかかったのである。そんなたっつんに、この頃、幸運な事が二つあった。一つは、島民が大喜びで手を貸してくれた事である。許兄弟の密貿易のおかげで発展出来たが、官軍のおかげで衰退してしまったという人が多い双嶼の島民は、双嶼の再興に積極的に協力してきたのである。そして、もう一つは、すぐにでも反撃してくると思っていた官軍が、一向に現れない事であった。双嶼が属している舟山群島といえば、倭寇の最も活発な地域と言ってもよい程の地域で、官軍も、特別な監視軍がいるはずである。にも関わらず、全く官軍が現れない。(何で、来ないんだ?)たっつんは、肩透かしを食らったように疑問を感じたが、(良く分からんが、今の内に、双嶼を生き返らせるんだ!)たっつんは、自らも各活動に参加し、島民や海獅子一党の者達とともに、昼夜なく働き続けていた。