「隼人様は、いまいち覇気にかける。それは良い事でもあるが、悪い事でもある。隼人様のような男は、より高みに昇り、天下を相手にすべきじゃ。」「ワシはそないなつもりは無いぞ。」「隼人様にそmaioneいな気が無い事は分かっておる。じゃから、ワシらが担ぐんじゃ。隼人様程の器がありながら、その野心の無さは罪じゃよ。」「………。」「戦乱に喘(あえ)ぐ、より多くの人々に、ワシらのような安寧な生活を送らせてやりたい。それを実現するには、天下の主が隼人様で無ければ不可能じゃ。」「そない持ち上げようとて、そうはいかぬぞ。」「今はそれでも良い。じゃが、ワシも諦めぬぞ。甲斐隼人、この名を天下へ響かせてみせる。隼人様が何と言おうとな。」隼人は、この弥吉の強い想いに口を閉じてしまった。そして、不貞腐れるように、弥吉に背を向けると、(こいつ…マジだ。でも、危険な目には合わせたくねぇ…連れていかずに済む手を考えねぇとな…。)そんな事を考えていた。そして、不貞腐れる隼人が放った言葉は、「ヌシらの想い通りにはいかぬ。そないな面倒が事が出来るか。ヌシらがワシを担ぐ気であるならば、ワシは金兵衛を担ぎ続けてやるわ。」というものであった。その隼人の言葉に、再び柔らかな微笑みを浮かべ始める弥吉は、「教祖様もとんだ災難じゃな。はっはっは。」と笑い声を響かせるのであった。